幼なじみの甘いレシピ

校舎の3階のすみっこにある、この図書室がわたしは大好き。

高校の図書室の所蔵量としては県内随一らしく、びっしりと几帳面に並べられた本の背表紙を見ているだけで幸せな気持ちになる。

わたしがこの学校を受験した動機の7割は、図書室にあると言っても過言じゃない。大好きな本に囲まれた、素敵な高校生活を夢見て入学したのだ。


……なのに、あのバカコータのやつ。人のマネして同じとこ受験しやがって。

おかげで、やっと切れると思った腐れ縁が、3年延びた。


「あ、あった」


目当ての本を見つけたわたしは、本を棚から取り出すと、その場に座り込んでペラペラとページをめくった。

だけど、いまいち内容が頭に入ってこない。いつもなら本を開けばすぐに没頭しちゃうのに。

文字を目で追いながらも、頭に浮かんでくるのは別のこと。


……あーあ。わたしってば、なんでコータなんかを好きになっちゃったんだろう。

もうすぐバレンタイン……。
あれからもう1年になるのか。


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