亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
その小さな後ろ姿を、じっと見詰めて。
全てを抱えて、全ての上に立とうとする少女を………目で追って。
「―――………ハハッ……!」
姫君以外、終始無言だった者達の中で、ただ一人、イブだけが嬉しそうに笑顔を浮かべて。
小さな赤い花の背中を、親に甘える子供の様に追いかけていった。
それに続く様に、荒野にいた兵士全員が少しずつ…ゆっくりと………彼女の後に続き始めた。
一人、また一人。
また一人。
同じものを抱えて。
その先へ。
先へ。
小さな姫君は。
王は。
城へと姿を消した。