亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
その音は真後ろから………いや、この火の囲いのちょうど反対側からだ。
そちらに視線を送ると、高い火の壁の、遥か遠くの方から粉塵が舞っているのが見えた。
突風に混じって流れて来る殺気と威圧感。
一つはあの若造。もう一つは嫌気がさす程の冷たい空気。
………ああ……楽しそうじゃねぇか。
ゴーガンは剣を肩に背負い、囲いに沿って歩き始めた。
………楽しめる方へ。
ゆっくりとした足取りで、兵士を睨みで威嚇しながら進んで行く。