亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
間違いない。あのライマンは………トゥラだ。トウェインのトゥラが………今にも倒れてしまいそうなくらい…弱っている。

何故だ?何があった?無事にあいつらは…。












―――トウェイン…!









ジスカはじりじりと迫るワイオーン達を睨み付けた。


―――邪魔だ……どけ!


一匹のワイオーンが牙を剥いて飛び掛かって来た。


ジスカは避けない。



正面のワイオーンに向かって………真っ直ぐ、腕を伸ばした。



そのまま、ガシッとワイオーンの上顎を掴んだ。

ワイオーンの巨体が、片手だけで徐々に持ち上がっていく。

ビクリとも動けないでいるワイオーンの開いた口に、空いているもう片方の手が入り込む。

だらしなく開いた顎から、唾液が止めど無く垂れた。

「―――…お前に恨みなんて無えさ…。………だがな………」

ジスカの手が、ワイオーンの大きな舌をギリリと掴んだ。

「―――ほんと、邪魔なんだ」


―――ブチッ…。


生々しい音と共に、狂った様なワイオーンの鳴き声。

口から血を流した巨体が、どう、と地面に叩きつけられた。

「……汚えな…」

千切ったワイオーンの舌を放り投げ、ジスカは構えるワイオーン達に向き直る。
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