亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――軍議は終わった。
トウェインは誰よりも早く部屋から出た。
…いつもの事だが……後味が悪い。はっきり言って軍議は嫌いだ。あの場では、社会的な立場と激しい男尊女卑の考えが嫌でも表に出される。
なんというか、どんな時でも蚊帳の外にいる気分だ。
………女とは…なんとも不便な生き物だ。
男に生まれていれば、と思う時もある。しかし、それは逃げだ。
逃げるなど………以ての外。
暗い廊下を、来た時よりも足早に通り過ぎて行く。
………異議を申し出た浅はかな己を後悔しながら唇を噛み締めた。
………すると、後からこちらに走って来る者がいた。
「―――おい!置いてくなっつーの!お前足早過ぎるんだよ…」
ぜえぜえと息も絶え絶えなジスカが横に並び、足並みを揃える。………トウェインは前を見据えたまま歩みを止めない。
「………あ―…まあ気にすんなって。深く考えんな。あーいうプライドの高い人間は古い事にこだわるからな……俺も一緒にするなよ…?」
「………」
歩きながら、トウェインはジスカを一瞥した。
ジスカはトウェインよりも一つ上の、まだまだ若い17の青年だ。
『アレスの使者』に入隊した頃から、差別する男達とは違って、トウェインに対し実に親しく接してきた。
厳しい訓練の時も、食事の時も、毎日話し掛けて来た。
常に闘志を燃やしている一匹狼なトウェインは、当初ジスカを「気違い野郎」とか思っていたが、今は違う。
トウェインは誰よりも早く部屋から出た。
…いつもの事だが……後味が悪い。はっきり言って軍議は嫌いだ。あの場では、社会的な立場と激しい男尊女卑の考えが嫌でも表に出される。
なんというか、どんな時でも蚊帳の外にいる気分だ。
………女とは…なんとも不便な生き物だ。
男に生まれていれば、と思う時もある。しかし、それは逃げだ。
逃げるなど………以ての外。
暗い廊下を、来た時よりも足早に通り過ぎて行く。
………異議を申し出た浅はかな己を後悔しながら唇を噛み締めた。
………すると、後からこちらに走って来る者がいた。
「―――おい!置いてくなっつーの!お前足早過ぎるんだよ…」
ぜえぜえと息も絶え絶えなジスカが横に並び、足並みを揃える。………トウェインは前を見据えたまま歩みを止めない。
「………あ―…まあ気にすんなって。深く考えんな。あーいうプライドの高い人間は古い事にこだわるからな……俺も一緒にするなよ…?」
「………」
歩きながら、トウェインはジスカを一瞥した。
ジスカはトウェインよりも一つ上の、まだまだ若い17の青年だ。
『アレスの使者』に入隊した頃から、差別する男達とは違って、トウェインに対し実に親しく接してきた。
厳しい訓練の時も、食事の時も、毎日話し掛けて来た。
常に闘志を燃やしている一匹狼なトウェインは、当初ジスカを「気違い野郎」とか思っていたが、今は違う。