亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………物凄い力だ。
押し負けそうになったが、なんとか跳ね返した。

ルアはトウェインの剣を離した。
………一瞬の攻防を交えて擦れ違う。

トウェインは振り返り、再度剣を構えた。

とん、と軽やかに降り立つルア。
キーツは自分の剣に目を移した。

………今ので刃こぼれが………短剣一本でよくやる…。

思っていた以上に、出来る。
型にはまらない自由な戦術だ。

相手の力量に関心を持ったが………その前に気になることが一点あった。






ぼんやりと浮かぶ敵のシルエット。
それはなんだか、自分よりも遥かに小さく……華奢だ。

細い手足に括れた腰。不自然な胸の膨らみ………。




「―――…貴様………女か…?」



その一言に、トウェインは怒りで身を震わせた。より鋭くなる眼光。
………ああ…あの目だ。女だからと言って……卑しいものを見る目。……白い目……腹が立つ………!


「………いかにも。私は女だ………だから…何だ………卑しいか?………そんな目で私を見るな!!」

激しい殺意。
恨みや憎しみ、悲しみまでも、トウェインはキーツにぶつけた。


「―――アレスの使者幹部……第4部隊隊長、トウェイン=フロイア。………貴様を滅する!!」

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