亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
トウェインは、全てを信用していない。信じられない。
だからだろうか。
―――…感情が上手く表せない。

―――…うあ―…気難しい顔しないでよ隊長…。

―――あの…隊長…なんか怒ってます?

―――隊長、無駄にそのぴりぴりしたオーラを出すのは止めて下さい。


―――…しょっちゅう部下達にこんな事を言われる。

―――これはもう直らない。

しかし、唯一ジスカにだけは、笑えている気がするのだ。

殆ど幼馴染みの様な、気の許せるジスカ。本音の言える友。

友と呼べる、唯一の人。

彼が冗談を言う時、人懐っこく笑う時、つられる様に、トウェインは笑みを浮かべる。心から。

この時が、一番心地よいと思える。

平和だと思える。


「………戯けが」

トウェインはふっと、笑みを浮かべた。
それを見たジスカは、満足げに口元を緩ませた。

「………もっと笑えよ。……子供の内から無愛想なのは良くねえぜ―?」

「………誰が子供だ」
トウェインはジスカの足を蹴り上げようとしたが、軽く避けられた。

「成人は16歳からだろ?あと二か月は子供扱い出来るってことだ。…おわあああ!?馬鹿!マジで切り掛かって来るな!!」

刃渡り150センチの青龍刀に似た剣を空中から出現させ、窓の外から屋根へ逃げ回るジスカを、殺意半分で追いかけ回した。

そう。
トウェインはもうすぐ成人。

―――16になる。
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