亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「第4部隊……?…貴様が…」
今まで表に出てこなかった謎の部隊。
………異質な部隊だ。
「女の身で隊長か………アレスの使者も落ちぶれたものだ…」
トウェインは唇をかみ締める。
キーツはルアから降り、剣をトウェインに向け、ルアに命令した。
「………貴様の相手はルアで充分………ルア…楽に死なせてやれ………情けだ」
「―――っ…!」
―――悔しい。私が何をした。何故そこまで迫害されなければならない。
………情けだと…!
ルアはトウェインに向かって勢いよく飛翔した。
真っ白な獣が、牙と爪をむき出しにしてこちらに向かって来る。
犬め………!
トウェインは衝撃に備えて剣を構えた。
受け止めた後、その腑に風穴を空けてやる!
獣は目前に迫った。
来る……!
―――――?
………何も起こらない。
正面には、白い獣がいる。
だが………。
襲ってこない。
敵意など無い大きな瞳が、トウェインを映す。
………何だ?
思わず構えるのを止めた。
ルアはトウェインの回りをぐるぐると回り続ける。