亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
地下では訓練が行われていた。
明かりの届かない地下は、目を閉じているのと変わらないほど真っ暗で、ひんやりと肌寒かった。
およそ百人が収容出来るこの地下で、第一から第三までの兵士が一言も発せずに綺麗に整列していた。
その兵士達の一番前に、それぞれの隊長であるベルトーク、ゴーガン、ジスカの三人がじっと部下達を監視していた。そこでベルトークが突如口を開いた。
「―――…今から一分間、闇溶けをやってもらう。………闇に溶けた後、あまりのめり込まない様に。下手をすると戻れなくなるからな。………始め」
感情の無い鋭い号令と共に、兵士達の姿が一斉に闇に消えた。
元先鋭部隊である『アレスの使者』が強豪と詠われていた理由には、この“闇溶け”があるからだ。
“闇溶け”とは、本来ライマンという魔獣の能力である。
狩りの際、闇夜に溶け込んで獲物を捕らえるという特殊な獣だ。
基本的には夜行性だが、昼間でも人間の影の中に潜んで襲って来ることもある。
この能力が、国家騎士団の目に止まった。
いつやって来るか分からない燐国の侵略に備え、騎士団の中で、主に偵察や暗殺を目的とする部隊が作られた。
沢山のライマンが捕獲され、その毛皮は剥がされた。
先鋭部隊の軍服は、上から下までこの毛皮が用いられている。
明かりの届かない地下は、目を閉じているのと変わらないほど真っ暗で、ひんやりと肌寒かった。
およそ百人が収容出来るこの地下で、第一から第三までの兵士が一言も発せずに綺麗に整列していた。
その兵士達の一番前に、それぞれの隊長であるベルトーク、ゴーガン、ジスカの三人がじっと部下達を監視していた。そこでベルトークが突如口を開いた。
「―――…今から一分間、闇溶けをやってもらう。………闇に溶けた後、あまりのめり込まない様に。下手をすると戻れなくなるからな。………始め」
感情の無い鋭い号令と共に、兵士達の姿が一斉に闇に消えた。
元先鋭部隊である『アレスの使者』が強豪と詠われていた理由には、この“闇溶け”があるからだ。
“闇溶け”とは、本来ライマンという魔獣の能力である。
狩りの際、闇夜に溶け込んで獲物を捕らえるという特殊な獣だ。
基本的には夜行性だが、昼間でも人間の影の中に潜んで襲って来ることもある。
この能力が、国家騎士団の目に止まった。
いつやって来るか分からない燐国の侵略に備え、騎士団の中で、主に偵察や暗殺を目的とする部隊が作られた。
沢山のライマンが捕獲され、その毛皮は剥がされた。
先鋭部隊の軍服は、上から下までこの毛皮が用いられている。