亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「離れる?」

「………ああ。………もっと自由に……走り回りたいんだよ。………俺はこの国で……家族を全部無くした。………そんな国に居座るなんて…真っ平御免だね」

ぐーっと背伸びをするジスカ。トウェインは押されてややよろめく。

「……そうか……どの国に行くんだ?」

「………寒いのは嫌いだ。………暑~いバリアンにでも行こうかな……あそこは年中夏とかいう季節らしいしな……次いでに引き籠もりの王様も立ち直らせてやるよ…」

軽く笑い、ジスカは一息吐いた。


………。





「……なぁトウェイン…」

「…何だ」

ちっとも変わらない淡泊な返事におかしさを覚えながら、ぽつりと言った。








「………お前も来ねぇか?」

「断る」


一刀両断。
即断即決。
迅速果断。
悪・即・斬(?)。


ジスカは頭を垂れた。





今俺………結構凄いこと言わなかった?

「………なーんで~…?」

「貴様と物見遊山など、命がいくつあっても足りん」

………酷くない?


………まあ、予想はしてましたよ。


魂さえ抜ける様な深い深~い溜め息を吐き、ジスカは放り投げようとした憂鬱日記を再度読み始めた。




ふと、脇にある本に目が行った。
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