亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
大きな緑の書物。
引っ張りだしてみると………表紙には、フェンネル、と見えた。
「……この国の歴史書じゃねえか?…これ……」
「……何だって?」
トウェインは振り返り、ジスカが眺めている巨大な書物に視線を移した。
「………そこの赤いのと青いのと……何かそっくりだぜ?……歴史書だろ…」
二人は興味津津で本を開いた。
………何しろ、数十年も前から、国民は王族に関する一切の情報を知らないでいる。
今までの王族の歴史が、こんな所に眠っていたとは。
「―――凄ぇ……これつい最近まで記述がしてあったんだな……最後の日付見ろよ………戦争が始まった日だぜ……」
確かに……。それ以降は真っ白だ。
最初の頁から一体何年間記録されているのだろう。それまでの王族の系図が長々と続いていた。
「―――…お?……戦争の発端の狂王様はこれじゃねぇ?」
木の根の様に枝別れした系図の下の方。小さく、『フェンネル王52世』とあった。
「―――その下に……姫が一人だけ。これが53世。………カルレット=ヴァルネーゼ……ふーん……確か、王位を継ぐ旦那が死んじまったから、仕方無く女王になったんだよな?………でもこれ見ろよ」
ジスカは更に系図の下を指差した。
引っ張りだしてみると………表紙には、フェンネル、と見えた。
「……この国の歴史書じゃねえか?…これ……」
「……何だって?」
トウェインは振り返り、ジスカが眺めている巨大な書物に視線を移した。
「………そこの赤いのと青いのと……何かそっくりだぜ?……歴史書だろ…」
二人は興味津津で本を開いた。
………何しろ、数十年も前から、国民は王族に関する一切の情報を知らないでいる。
今までの王族の歴史が、こんな所に眠っていたとは。
「―――凄ぇ……これつい最近まで記述がしてあったんだな……最後の日付見ろよ………戦争が始まった日だぜ……」
確かに……。それ以降は真っ白だ。
最初の頁から一体何年間記録されているのだろう。それまでの王族の系図が長々と続いていた。
「―――…お?……戦争の発端の狂王様はこれじゃねぇ?」
木の根の様に枝別れした系図の下の方。小さく、『フェンネル王52世』とあった。
「―――その下に……姫が一人だけ。これが53世。………カルレット=ヴァルネーゼ……ふーん……確か、王位を継ぐ旦那が死んじまったから、仕方無く女王になったんだよな?………でもこれ見ろよ」
ジスカは更に系図の下を指差した。