亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
女王であるフェンネル王53世の下に三つの名前。
………系図はそこで途切れている。
「―――子供は三人とも……お姫様だ。……男が生まれなかったんだな……」
王位はどうするつもりだったのだろう。
三人の姫君の夫……内の誰かに継がせる気だったのか。
だとしたら、長女の花婿か。
「―――え~と………長女…『エルシア』。……次女…『リネット』………三女………」
――――『ローアン』
二人は固まった。
『ローアン』。
王族……フェンネル王53世の第3王女。
「………嘘だろ。………んじゃあ…あのキーツ=ファネル=ゲインは単なる貴族の生き残り、だけじゃなくて…………………第3の王位継承権者…ってか?」
「………かもな…」
「………おいトウェイン………お前、とんでもねぇ人間と間違われてねぇか―…」
―――『ローアン=ヴァルネーゼ』。
………知らない。
………なのに………知っている気がするのは………何故だろうか。
トウェインの脳裏に、夢の中にいるあの少女が浮かんだ。