亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

グンッ、と身体が持ち上がる。

絡まった蔓みたいなのが地面から表れ、あっという間に身体に絡み付き、そのまま高く吊り上げられた。


………?…何が起こったのだろう…??

絡み付いた紐は噛んでも千切れない。
そうこうしている内に、下の方が騒がしくなった。









「………見ろよ!あれ、野獣のフェーラだぞ!罠に掛かっている!」

「………腹のでかい雌のフェーラがここ最近目撃されていたが…」

「………子供だろう…まだ小さい……雌だな」



訳の分からない鳴き声が交差している。
………何だろう。じろじろ見られている。



「………街に売っちまおうぜ……あっちじゃ…フェーラを使った遊びが流行ってる……互いに戦わせてるらしい」

「それにしても、全然暴れないな…こいつ」






穴が空いた四角いのに入れられ、何処かに連れて行かれた。



………嫌ではなかった。だから、抵抗もしなかった。度々隙間から入れられる赤いのがおいしかったし。

「ほら、肉だ」

と聞こえると、それは出て来る。

―――『にく』というのか。





「―――に…く」


「………おい…今こいつしゃべって…」

「………はぁ?…気のせいだろ…」

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