亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「―――………」




なんとまあ………懐かしい日の記憶だろうか。

夢で思い出すとは…。


むくっとベッドから上半身を起こし、頭を掻いた。

………鳥肌が立ってる。………ストレス感じてる。

ベッドの下に手を突っ込み、割れた手鏡を取り出した。

薄暗い中、鏡に映る不機嫌な自分を見つめた。

ぼっさぼっさのオレンジの髪。…人間の目。

「………バーカ。…こんな湿気た面、イブちゃんとは認めませんよ~…」

鏡の自分が、にこりと微笑んだ。


………うん。良い顔。

鏡を放り投げ、どでかい窓から外を眺めた。

………いつ寝たっけ?確かまだ日が高い頃に帰って来て……ダリルとマリアとで“闇溶け”の調整をして……飽きたからチェスして……飽きたからトランプして………「飽きた」ってダリルは先に抜けて……夕方近くにマリアが出て………。

……日が暮れた頃に寝たんだ~。

まだ0時前じゃん。


………目が冴えちゃった。






気晴らしのつもりで部屋から出た。
……寝たら、またさっきの夢が続きそうだから。

………嫌気がさす、不快な夢。………吐き気がする様な……あと………少しだけ…寂しくなるというか。

(………隊長)

今すぐにでも会いたかった。
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