亡國の孤城 ～フェンネル・六年戦争～

よっこらせ―とジスカはトウェインの隣りに胡座をかいた。
挟まれているトゥラは忌々しそうにジスカを睨み付け、急に身体を起こし、そのまま“闇溶け”をして何処かに行ってしまった。

「―――お前、やけにトゥラに嫌われているな…何かしたのか？」
ジスカに会えばすぐ噛み付こうとするし、急に消えるし、ぎろっと睨んでくるし…。

「………気に食わないんだろ。ご主人様と俺が一緒にいるのが…」
トウェインは顔をしかめた。

「………何故だ？」

「さあーて……獣の考えなんて知りませーん」

へらへら笑いながら話題を軽く流し、ジスカは溜め息を吐いた。

トウェインと揃って、無言で城を眺める。

………ああ…何もかも奪われた。あの城に。
…あの城が無くなる事、永久にこの瞳に写らない事が、望み。

生きていくための糧。それは復讐。

………それだけが望みだった。
…だったのに………。

「―――…長生きするってさ…欲張りになるな」

「………ジスカ…何か食ったな？…何を食べたのだ？」

神妙な面持ちで妙な台詞を吐いたジスカが…気持ち悪い…。
トウェインは真面目に心配した。

「………お前…俺をどんな目で見てるんだ？」