亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――今のでだいぶ品格が疑われたな……国家騎士団の…。名ばかりのお笑い集団だと……」
「………お前さっきから何ぶつぶつ言ってんだ?」
ここ最近、キーツの様子がおかしい。
今もおかしいけど。
………城をぼーっと眺める時間が長くなった。よく俯いている。食が細くなった。人の話を聞いていない。ルアをよくぎゅーっと抱き締めて離さない。
………何?
俺が戦場で戦っている間何があった?
君をそこまでおかしくさせる程のショックが?
オーウェンには見当もつかない。
リストに聞いてみたが……。
「………足止めされたから……知らない」
リストもリストであまり思い出したくないのか、それ以上何も言わないのだ。
………何だ―?
糞楽しいじゃないですか。
普段鬱っ気のあるキーツ坊やが更に墜ちてきたのだ。
とにかく精神的なダメージをもろに食らったに違いない。
アレスの使者の襲撃の後、一息吐いた頃、兵士達は破損した城壁や塔の修理に追われた。
特に塔の状態は酷い。
亀裂だらけだし、穴は空いてるし、おまけにあのパラサイトのせいでちょっと傾いている。
中は血だらけだし…。