亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………で、姿は確認出来たのか?」

リストはそこで口ごもる。物凄く嫌そうな顔だ。

「……僕より年下の女………フェーラだった」

「………フェーラ……ねぇ…」

沈んでいるのか苛ついているのか、とにかく不機嫌なリスト。

………フェーラという存在は、リストにとってトラウマの塊だ。

「………が、しゃべっていた」

「ふーん………フェーラがしゃべって……ってええ!?しゃべる?」

オーウェンは頭を掻いた。

「……あの…食うこと寝ることやっぱり食うことのフェーラが………しゃべるぅ?………わー…想像出来ねぇ……どんな部隊だよ…」

しかし、兵士同様に鍛えられたフェーラなら、一階から九階までの厳重な警備をいともたやすくクリアするだろう。
そこは納得。

塔内の、食い散らかした様なグロテスクなあの惨状もそれか。

「………後で……ルアの記憶から姿確認するか………何ですかキーツ」

傍らで、汗をかいているキーツが小さく挙手していた。

「………あの………別に…見なくても……いいと思います…」

「………………で?リストはそのフェーラに足止めされて勝ったのか?」

キーツの意見は綺麗に流された。

「………負けた……動揺してたんだ……」

< 254 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop