亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
リストはそっと首を擦った。
………痣だ。小さな手の形をした痣が、その首にあった。

「………負けた、ねぇ……お前がか……。……次は殺れよ。………で、取り逃がしたもう一人ですが………ここは…………………はいはい、そこの俯いているキーツ君~?これに関してはお前しか知らないんですよ~…」

キーツは頭を抱え出した。オーウェンはにやにやしながら隣りに座った。

「………総団長…一体何があったんです?………その様子はただごとじゃないですよ…」

キーツがあまりにもおかしいため、さすがに不安になってきたリスト。

「………何でもない……何でもないんだ……ただちょっと……」

「……えーと、まずお前と対峙した敵さんについて分かった事を述べよ」

きりが無いと判断したオーウェンは、半強制的に一つ一つ説明させることにした。

キーツはここで漸く顔を上げた。

………なんか…疲労の色が見える。

「………あ―………対峙したのは……第4部隊隊長の人間…だった」

「…へーえ……隊長自らやっと表に出て来たのか。……それで?特徴は?名前とかは?」

傍らに寄って来たルアを撫でながら、キーツは大きな溜め息を吐いた。
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