亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――特徴………背丈は…これ位小さくて……金髪で……あ…青い目の…………女で………」
「―――あー?………何だ何だ―?アレスの使者は女を隊長にしてんのか?………凄ぇな…ある意味革命だぜ………」
「………名前は……トウェイン=フロイアと……名乗って…いた」
………何故こいつはこんなにも落ち着かないのか……。
そのトウェインとかいう女がどうかしたのか?
(………まさか惚れたなんつー馬鹿なこと……)
……まず…ある訳ないだろう。
何故ならこのキーツは………昔の想い人……本当に好きだった女に、今だ執着しているのだから。
………他の女に…どんなに理想の女に会っても、キーツの理想の女は既に決まっている。
………女々しい奴だねぇ。
(………………人の事言えねぇけどな…)
自嘲的な笑みを浮かべ、再度キーツに視線を移した。
「………で…その隊長さんと何があった?負けた訳じゃないよな?…現にここに生きているし」
「………撤退していった。………対峙したのは僅かだった」
……ほんの数分の間の出来事だったのに…物凄く長く感じた。
………時が、止まった気がした。
………頭から、あの女の姿が消えない。