亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
風に流れる豊かな髪や、透き通るスカイブルーの目、整った顔立ち………。



………同じ。

あの女は……似過ぎている。


初めて会ったのは七つの頃。

彼女は二つ下でまだ五つだった。

五つとは思えない程大人びていて……滅多に笑わなかった。

しかし、たまに向けられる愛らしい笑顔はとても綺麗で、可愛くて……彼女に会うのが嬉しくもあり、恥ずかしくもあり………。


………気がついたら、彼女しか見えなくなっている自分がいた。


ああ……自分は……彼女が好きなんだ。

好きで好きで仕方無くて………どうにもならない程………。






しかし……ローアン……。











君は………死んだんだ。














………死んでしまった。





幼いまま、死んだ。













最愛の彼女の………面影がある女。


面影なんてものじゃない。



そのままだ。


そのまま……成長した…大人びた姿……。













「………同じなんだよ……オーウェン」






頭から離れない。
………違うのに。違う人間なのに。







「―――…同じなんだ……彼女と……同じなんだよ……」
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