亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
ローアンとキーツは黙りこくった。
………場の空気が暗い。
「―――まあとにかく…亡霊みたいだけどかっこいい人だよ。歳はまだ…27だって。髪も白いし髭も生えていたから、最初はおじいさんかと思った」
ローアンはくすくすと笑った。
「………私も会ってみたいわ。だってこの城を守ってくれているんだもの。顔も知らないなんて…守られる側としてあってはならないわ………王族って不便ね。ずっとここから出られないなんて」
ふぅ…と5歳児らしかぬ溜息を吐く。つまらなそうなスカイブルーの瞳がふと、生き生きとこちらをとらえた。
「……でも……今はキーツが来てくれるから………嬉しいわ」
滅多に見せないローアンの笑顔。
それが今、自分だけに向けられている。
「―――………うん」
嬉しい。ローアンが笑ってくれると…嬉しい。
幸せだ。
………本当に。
「いつかこっそり国家騎士団の総団長に会おうかしら。…お名前は何て?」
キーツは記憶の糸を辿った。確か…。
「―――………確か…クライブ=フロイアって言っていたよ」
………場の空気が暗い。
「―――まあとにかく…亡霊みたいだけどかっこいい人だよ。歳はまだ…27だって。髪も白いし髭も生えていたから、最初はおじいさんかと思った」
ローアンはくすくすと笑った。
「………私も会ってみたいわ。だってこの城を守ってくれているんだもの。顔も知らないなんて…守られる側としてあってはならないわ………王族って不便ね。ずっとここから出られないなんて」
ふぅ…と5歳児らしかぬ溜息を吐く。つまらなそうなスカイブルーの瞳がふと、生き生きとこちらをとらえた。
「……でも……今はキーツが来てくれるから………嬉しいわ」
滅多に見せないローアンの笑顔。
それが今、自分だけに向けられている。
「―――………うん」
嬉しい。ローアンが笑ってくれると…嬉しい。
幸せだ。
………本当に。
「いつかこっそり国家騎士団の総団長に会おうかしら。…お名前は何て?」
キーツは記憶の糸を辿った。確か…。
「―――………確か…クライブ=フロイアって言っていたよ」