亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――…一年………二年………三年………。
時は過ぎた。
何故父と城に行くかなど、疑問に思う事さえなくなった。
―――ただ彼女に会えることが嬉しくて。
―――見詰めるのに夢中で。
―――可愛らしい微笑みが見たくて。
―――その名前を呼びたくて。
―――僕を見てほしくて。
―――一緒に居てほしくて。
―――…だんだんと少女から大きく…大人びていく君を見ながら……。
―――僕は……気付いていった。
―――彼女が好きだ。
―――全部………彼女の全部が好きだ。
好きで好きで…仕方なくて
―――……。
………ローアン…。
………君は…。
僕をどう思ってくれていますか。
………ローアン…。
僕は時々…。
そればかり考えている。
そればかり。
―――11の………春が訪れようとしていた。