亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――オーウェン…」

「俺は………お前が一番適任だと思うぜ。……………俺は駄目だ………………そういうの………向いてないからな。……………キーツ………お前がやれ」

オーウェンの真剣な視線が、キーツに注がれた。



周りの兵士達は、揃ってその場に膝を付き始めた。


キーツに対し、深く頭を下げた。



貴族だから。
そんなものではない。
彼らの忠誠を誓う先は、貴族のキーツではなく、主としてのキーツへだった。






三百六十度。自分を囲む全ての人間が、跪いていた。


キーツはアレクセイに振り返った。


アレクセイは終始無言だったが、ただやんわりと微笑みを返してきた。




















「―――分かった」








キーツは呟いた。










「――――守ろう。………この国を。…………………僕達で」















裏切り者には、死を。













新たな国家騎士団の総団長が、この時生まれた。











まだ12の少年が、一人の戦士となった。













………戦争だ。


元々味方だった者達との、醜い戦争。







いつ終わるかなど分からない。
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