亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
イブ、ダリル、マリアの三人で囲んでいたテーブルの中央には、食べ出したらなかなか止まらない、コリムの実という殻付きの実と、その殻の山の二つがこんもりとあった。

イブは椅子でガードしながら、そろそろと後退する。

「………あの………あたし一人で食べてた訳じゃないよ!皆で仲良く分けあってですね…!」

「……………………イブが誘ってきました。僕には罪はありません。むしろ被害者です」

「あああ!!このダラダラダリル!!何抜け駆けしようとしてるのよ!!先に身の潔白を訴えるなんて………!!卑怯よ!あんたはあれね!…ここは俺に任せてお前は逃げるんだ!とか言われたら真っ先に逃げるタイプね!……薄情者~」

ギャーギャー騒ぐイブを完全無視し、ダリルは欠伸をしていた。

「………没収だ。まったく………何処で入手したのか……」

トウェインはおもむろにテーブル上の山の様なコリムの実を掴み、ポイッとその辺に投げ捨てた。


その途端、トウェインの影からトゥラが飛び出し、コリムの実を空中で全て飲み込んだ。

「あああああ―………唯一の楽しみが…隊長のペットに……………せっかくジスカからタカって手に入れたのに…」

「そうか。ジスカか。…よく教えてくれた」
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