亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
黒いオーラを放ちながらトウェインは言った。



……奴め。後で縛り首にしてやる……。


「ところで隊長。…………何か用があって来たんじゃないの?ここはマリアの部屋だし…」

イブとダリルのやりとりを微笑ましく眺めていたマリアは、トウェインに顔を向けた。

「そうね……何ですか隊長?………私に何か…?」

パッと黒いオーラを引っ込め、トウェインは一つ咳払いをした。


「………ああ。………マリアに、話がある。…………」

トウェインはちらりとイブとダリルに視線を移した。

……その視線の意味に気がついたダリルは、無言でイブを引っ張ってドアの方に向かった。

「……痛ぁ!ちょっとダリル!髪を引っ張らないで!あたしの可愛いポニーテールを無造作に掴まないでよ!」

「掴みやすいから。………ほら、僕らは邪魔だよ。さっさと歩いて」

ギャーギャーニャーニャー暴れるイブをそのまま連行していった。

パタン、と物寂しくドアが閉じた。










「………マリア、そこに座れ」

「………ええ」


訳が分からない様子のマリア。
さっきから何度も首を傾げている。


トウェインはマリアの向かいに立ち、腕を組んで溜め息を吐いた。
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