亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………枝の具合はどうだ……?」
ずっと笑顔だったマリアが、その時ほんの少しだけ…ピクリと動いた。
「………具合?………別に変わりないわよ?痛みも何も…」
「………心配かけたくないのは分かるが、頼む。………正直に言ってくれ」
トウェインは鋭い視線を投げ掛けていた。
マリアはそれを、微笑で受け止めた。
そっと右足に手をやり、軽く撫でた。
マントの下からは、ゴツゴツとして乾いた木の感触が伝わって来た。
「………隊長には嘘なんかつけないわね……………本当はね…………………………また、伸びたの……」
トウェインは顔をしかめた。
側にあった椅子を引っ張り、マリアの正面に置いて腰掛けた。
「………見せて」
トウェインがそう言うと、マリアはゆっくりと軍服のボタンに手をかけた。
首のボタン、胸元のボタンを上から外していき、腰までの上半身の肌を曝した。
真っ白なきめ細かい肌が、露になる。
トウェインはマリアの身体を眺め、また一つ、溜め息を吐いた。
「………先日の…襲撃の時か?」
「多分ね。………“解放”をしたから……伸びたのだと思うの」
「………予想以上に早いな……」