亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
トウェインが部屋から出て行った後、マリアは使い古された固いベッドに横たわった。
肩まであるストレートの金髪が、ベッドの上で流れた。
………皆に…心配ばかりかけてるなぁ……。
………嫌だなぁ…。
マリアは髪の先をいじくり、唇にそっと触れ………僅かにあった心地よい眠気に、意識を放り投げた。
今夜は満月だ。
………また足が疼くなぁ。
閉じた瞼の裏に一つ、人影がぼんやりと浮かんでいた。
…………何だったのかしら。あれは………。
第1部隊隊長に呼ばれた日のことを、曖昧な意識の中で思い出していた。
………分からない。