亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
マリアは泣いていた。
泣きながら、ベルトークの激しい愛情を受け止めていた。
むき出しの真っ白な太股を撫でると、身体を大きく震わせた。
暗闇の中で、映える純白の身体。
触れる度に小さく喘ぐマリアが、とても愛しかった。
甘い吐息が互いの顔にかかる。
マリアの匂い立つ何とも言えない様な甘い香りに、僅かな理性を保っている意識が何度もクラクラした。
時折ぎゅっと目を瞑ったり、ベルトークの服の裾を弱々しく引っ張ったり、身体を縮こませたり……。
抱き締めて、キスをして、髪を撫でて、また抱き締めて。
小さく、弱々しい彼女を、放したくなどない。
ずっと……。
人間とは不思議なものだ。
……女など、全く興味が無かった。性的な欲求など邪魔だった。
戦争に明け暮れ、多くの人間を殺してきた。
………自分にはそれだけで良かった。
氷刃のベルトークで良かったのだ。