亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――……ねぇジスカ、なんかつまみになるお菓子無いの?」

「………またたかりに来やがったな…」


第3部隊と第4部隊の合同訓練が塔の外で行われていた。

今まで第4部隊は合同を許されていなかったのだが、何故かここ最近積極的に参加させられる様になった。

………一ヶ月と半月後の次の襲撃は、大掛かりなものなのだろうか。


第3部隊の面々はやっぱり、奇妙な第4部隊に慣れない様だったが、以前ほど避けることは無くなった。


………隊長であるジスカが、11の少女にたかられているからかもしれない。

気味悪がられているマリアも、そのふわふわした人柄のせいか、周りはすぐに打ち解けてきた。

軍服が破れて困っていた兵士の中には、わざわざ裁縫を習いに行っている輩もいるとかいないとか。

盲目で口の悪いダリルは“闇溶け”のプロフェッショナルであるため、教える側にも回っている。

これが結構スパルタなのだ。






「……ほら、よこしなよ。その軍服の何処かに隠し持ってることは既に分かってるのよ―」

「………このガキ…」

幾度と無くたかられ、拒否するごとに引っ掛かれたり噛み付かれたりしていたジスカ。

笑顔のまま無言で空中から槍を出した。
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