亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

「いやーん!こんなか弱くて可愛い将来有望な上玉のプリティガールを刺す気?ここに暴漢がいるぅ~!歩くスカがいるぅ~!」

「スカスカ言うな!!スカかもしれねぇけど!!……お前らも後ろ向いて笑うな!!笑うならもっと盛大に笑え!!俺が惨めだろ!!……………こんのクソガキが…!」

ジスカは槍を構え、クネクネしているイブに向かって振り回してきた。

「やーん、怒らせる気なんかさらさら無かったのに―。……………………この単―細―胞―!」

「怒らせる気満々じゃねえか!!」


目にも止まらぬ速さで空を切る槍。
それをイブは楽しそうにクルクルと回りながら避ける。

「………よく飽きないね……イブ」

「……ジスカ君って反応が面白いもの。見てて飽きないわ~」

ダリルとマリアは揃って、この半分殺し合いの現場を傍観していた。


イブは高く跳び上がり、塔の壁に片手だけでへばり付いた。

垂直の壁をとんとんと歩いて行く。

これはフェーラであるイブの魔術で出来るものなのだが、兵士の大半はイブがフェーラであることを知らない。

「………やっぱり第4部隊は特殊だな」

「…壁を歩けるのか…すげぇ」




第3部隊からそんな声が出て来る。




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