亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~


「……なんか言われてるよ……僕らも括られて」

「……良いんじゃない?どんどん神格化させちゃいましょう」


イブは壁を縦横無尽に走って行く。

それを地面で追い回すジスカ。


………いつ訓練始めるのだろう。


「………隊長―…早く始めましょうよ。こんな所………ベルトーク隊長やゴーガン隊長…はたまたトウェイン隊長に見つかったりでもしたら………隊長、死ぬしかないですよ」

呆れた表情で第3部隊の隊員が言った。

ジスカは蝉捕りをする少年の様に、槍を高く振り回す。


……全部ひらひらと避けられた。

ジスカは振り返り、部下達に不機嫌な顔で叫んだ。



「…始めたくても……その肝心の第4部隊隊長さんか来ねぇから仕方無いだろうが!!珍しく遅刻ですかこの野郎。………合同訓練ってのは各隊の隊長が揃ってから始めるもので…」

「……トウェイン隊長なら来ないよ」

突如、ダリルがさらりと言い放った。

ゼエゼエと肩で息をするジスカ。
小さく首を傾げる。


「………あ?…訓練に来ないって…」

「さっきお呼びがかかったのよ。隊長だけ」

……誰にだろうか。
ベルトークかゴーガン辺りか…。









「………総隊長にね」
< 494 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop