亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「……なんか言われてるよ……僕らも括られて」
「……良いんじゃない?どんどん神格化させちゃいましょう」
イブは壁を縦横無尽に走って行く。
それを地面で追い回すジスカ。
………いつ訓練始めるのだろう。
「………隊長―…早く始めましょうよ。こんな所………ベルトーク隊長やゴーガン隊長…はたまたトウェイン隊長に見つかったりでもしたら………隊長、死ぬしかないですよ」
呆れた表情で第3部隊の隊員が言った。
ジスカは蝉捕りをする少年の様に、槍を高く振り回す。
……全部ひらひらと避けられた。
ジスカは振り返り、部下達に不機嫌な顔で叫んだ。
「…始めたくても……その肝心の第4部隊隊長さんか来ねぇから仕方無いだろうが!!珍しく遅刻ですかこの野郎。………合同訓練ってのは各隊の隊長が揃ってから始めるもので…」
「……トウェイン隊長なら来ないよ」
突如、ダリルがさらりと言い放った。
ゼエゼエと肩で息をするジスカ。
小さく首を傾げる。
「………あ?…訓練に来ないって…」
「さっきお呼びがかかったのよ。隊長だけ」
……誰にだろうか。
ベルトークかゴーガン辺りか…。
「………総隊長にね」