亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――……一対一で話すのは…………随分と久しいな………………………………最後に話してから……どのくらい経ったか………?」
「…………二年……いえ、三年になります」
「………そうか………三年…か………………この年で……もう16………成人か」
「………はい」
あと一ヶ月と少し。
16になる誕生日がくる。
………誕生日、と言っても、本当の期日は知らない。
その日は、総隊長が拾ってくれた忘れられない日。
その日を誕生日にしただけだ。
もしかすると、とっくの昔に成人しているのかもしれない。
「………早いものだな………ついこの間まで……お前は私の足下を走り回っていたのだがな……………………立派になったものだ」
「………恐縮です」
淡々とした受け答えが続く。
こんな物寂しい会話でも………トウェインは嬉しかった。
三年ぶりの会話。
ずっと待ちわびていたのかもしれない。
親に甘えたくて仕方無い子供の様に、うきうきとしている自分がいた。
………まだまだガキだな。
「………初めて会った時のこと………覚えているか?」
「それはもう………はっきりと覚えております」