亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
無愛想で無口な総隊長は、子供に歩調など合わせてくれる筈も無く、先へどんどん歩いて行ってしまう。

それでもトウェインは追いかける。
息を切らして、大きな背中を追いかけた。



………必ず、振り返って後ろについて来ているか確認してくれるのが、とても嬉しかった。

彼はそれ以上のことは何一つしない。


私が隣りに並んでも、軍服の裾を掴んでも、何も言わない。





………邪魔…とは思われていない。

それでいい。
それでいいから……。




13になった時、トウェインは第6部隊から外され、第4部隊隊長に任命された。

度々あった国家騎士団との戦闘で、元第4部隊隊長と第3部隊隊長が戦死していた。
ジスカはその頃すでに第3部隊隊長に任命されていた。

あまりに突然の出世だった。

まだ幼い……しかも女の身でありながら、隊長になれるなど思ってもいなかった。

周りから反発もあった様だ。
ゴーガンは絶対に認めなかったし、第5部隊隊長のバレンや第6部隊隊長のグラッゾも、危険すぎると反対した。

それでも、総隊長はこの異例の出世を通した。

空白だった第4部隊にトウェインが入り、そして非戦闘員であったイブ、マリア、ダリルが配属された。
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