亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
トウェインとベルトークはゴーガン達が通って行ったであろう道を、“闇溶け”でひたすら走った。





………何故、ゴーガン隊長は…。

そう思いながらも、何処かであまり動揺していない自分もいた。



………こんな時が、いつか来るのではないかと…思っていた。
















城の前の、何も無い荒野。
以前の襲撃の際に火をつけた原っぱには、まだ生々しい焼け跡があった。







その中央で、ゴーガンは鮮血を飛ばして倒れていく部下達を横目で見ていた。


ゴーガンの前方には、背丈の低い、子供のシルエットが地面から生えていた。

………白く光る目玉。そして額には、黒い第三の目が瞬きを繰り返していた。

華奢な両腕が握る短剣は、光りのごとき早さで空を切る。

ゴーガンは舌打ちをした。

「…………よりによって…相手がフェーラか。………ついてねぇぜ………」

フェーラと言われたせいなのか、相手はピクリと動いた。

………イブと同じフェーラ。………戦闘能力は通常の人間の倍。

………一発で部下が倒されるわけだ。

「………主要幹部の…リスト=サベスだな?……………そちらさんから出て来てくれるとは…有り難いこった」
< 521 / 1,150 >

この作品をシェア

pagetop