亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
憎悪の入れ混じった、しかし澄んだスカイブルーの瞳。
………トウェインはすっと目を逸らし、踵を返した。
小さな黒煙が立ち込めたかと思うと、その細いシルエットは跡形も無く消え失せた。
「――――………そうか………死んだか…」
冷たく、暗い部屋で、クライブは呟いた。
思念伝達で、ベルトークからすぐにゴーガンの死の報告を聞いた。
クライブは背も垂れに寄り掛かり、天井を見上げ、大きく息を吸った。
鞘の無い剣の先を、コツ、コツ…とリズム良く床に付く。
目にかかる長い前髪を払おうともせず、クライブは細い隙間から、浮かぶ闇を眺めていた。
……いつの間にか、笑みが零れていた。
口元を押さえても、どうしても唇が歪む。
終いには声を上げて笑っていた。
「―――…独りで走って行ったか……………………………………………………愚か者め」
コツ……コツ…。
物寂しい単調な音色は、止まない。