亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
12.誠の名を
―――あんたおかしいよ。
―――何がやりたいの?
僕はいたって仕方無いじゃないか。
―――僕を産んだ親さえも、僕を捨てた。
―――でも僕は生きている。……意味も無くね。
―――皆僕を気味悪がるんだ。当たり前だよ。異質だもの。普通の子供とは違うから。
―――違うって悪い事なのかな?僕はそこがよく分からないんだ。皆と同じだなんてつまらないのに………違うとどうしてこう、周りはけなすのかな。離れて行くのかな。
―――別に良いよ。他人と馴れ合うのは苦手なんだ。僕が何か言うと、皆怒るんだから。
―――あんたも怒って良いんだよ?
―――なんでそんなに無表情なのさ。僕とあんまり変わんないね。
―――同情なんて要らないよ。そんなの、一番要らない。
――――どうしたの。ほら、早くしなよ。
―――あんた………おかしいよ。
―――ほら…早く。
―――僕を殺して。