亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――。
―――………。
「―――トウェイン!!」
はっと我に返るのと同時に、力強い大きな腕が、後ろからトウェインの腰を思い切り引き寄せた。
………何が起きたのか。目の前に広がっていたあの枯れた花畑も、あの花も、そしてローアンも、この視界の何処にも映っていない。
ただ見えるのは、真下に広がる木の杭の鋭利な切っ先。
………いつの間にか“闇溶け”が解けており、滑らかな崖の斜面に立っていたのだ。
………もう少しで落ちる所だった。
間一髪のところでトウェインを救ったジスカは安堵の息を漏らす。
「あっぶねぇ―………何ぼーっとしてるんだよ……“闇溶け”まで解けて……お前おかしかったぜ。白昼夢でも見てた感じだった…」
「……………夢………………?…………今…私は確か…あの城壁内の向こうに………」
困惑したまま、トウェインは今まで自分がいた場所を指差した。
高い城壁の向こう。角にあたるあの……。
「………城壁内って……………あっちは見えない壁のせいで入れない辺りだろ?………行ける筈がねぇだろ…………」
………??……そんな…………。