亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
塔に帰った後も、トウェインは何処か落ち着かない様子だった。
イブとダリルによる、丸一日のハード訓練は、朝日が上ると同時に終わった。
怪我人続出。重傷者多数。
イブの使い魔である蜘蛛に刺され、意識が無い兵士もたくさんいた。
偵察から帰って来たトウェインとジスカを見るや否や、まだフェーラの姿のイブが元気よく飛び付いて来た。
ダリルも歩み寄る。
「おっ帰り―隊長!…………………ん?………なーんか暗いよ………?」
いつもなら飛び付くと、「やめろ」と一言で追い払うトウェインだが………今は無言どころか、イブの頭を撫でている。
何処となく元気が無い。
「………疲れてるの?………城で何かあった?」
何も言わないトウェインに、ダリルも不思議に思った。
トウェインは首を横に振る。
「………何でもない。………………ちょっと…な………」
「………分かった!ジスカが変な事したんだ!セクハラだ!!スキンシップとか言ってセクハラをしたな!!ジスカのスはスケベのス―!!」
「失礼な!意味不明だ!ジとカは何処行ったんだよ!!」
「地味でスケベで甲斐性無しの、ジ・ス・カ~」
「………こんのガキは………」