亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
―――確かめよう。
―――はっきりと。
決意は固い。
………あの少女が言った言葉の真意を……。
偵察の報告を終え、トウェインとジスカは部屋から出た。
トウェインは足早に暗い廊下を進む。
今夜は総隊長を交えた軍議がある予定だった。
夜までトウェインとジスカは部下の訓練。
………しかしトウェインは階下に降りるどころか、そのまま奥の方へ進んで行く。
「………?…おい……トウェイン……そっちは訓練場じゃねぇぞ………」
不思議に思ったジスカは前を歩くトウェインに声をかける。
トウェインは何故か辺りをキョロキョロと見回し、小さな声でジスカに囁いた。
「………私は………少し遅れて行く…………うまく誤魔化してくれ」
「………はぁ?」
………あの鬼の様な厳格上司が……何を言っているのか。
ジスカは我が耳を疑った。…が、聴覚は正常である。
「………なんだそりゃ………別に良いけどよ…何で…」
「………………聞くな」
鋭い眼光が光った。………ジスカは口ごもり、大きな溜め息を吐いた。
「………俺にも言えない事か?………良いぜ……すぐ来いよ……」