亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「―――………我は……偉大なる創造神アレスに忠誠を誓う者…………慈悲なる神よ…………その御手で我らを誘い…給え…………我が名は……トウェイン=フロイア。…………誠なる浮き世の名である………」
……真っ白な頁から淡い光りが滲み出た。
黒煙に似た真っ黒な文字の群れが現れ、目線の高さの辺りで蠢く。
………まだ発動させただけで何も言っていない筈だ。
………なのに何故。
文字の群れはトウェインの正面に孤立したまま、螺旋状に蠢いている。
…………すると突然、横一行に文字が並んだ。
一つの文章がそこに現れた。
……………トウェインは……………一瞬息を止めた。
それを読んだ途端…………身体が震えた。
『―――誠の名を申せ』
トウェインはゆっくりと後退した。
文字は光り続ける。
『―――誠の名を申せ』
誠の名を。
誠の名を。
誠の……。
「…………嘘だ………」