亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
13.それはあまりにも近く、遠過ぎて
あんないやらしい夢を見始めたのはいつからだったか。
多分成人してからだろうか。
仕方無いんだよ。年頃の男の子なんだから。
健康ですから。
その夢を見た後は……本当…落ち着かねぇ…。
あいつと目が合わない様になるべく避けるんだが……どうしても合っちまう。
あいつは目を見て話すからな…。
少しビビるね。ドキッと心臓が飛び出すよ。
こっちの気も知らないで………たまに笑いかけてきた時にはもう…。
………灰色の地味な軍服に映える、真っ白な肌とか。首筋とか。
薄紅色の唇だとか。
昔より…目立ってきた胸とか。
細い手足とか。
………目がいっちまう。どうしても。
他の女は…つまらない。嫌になる。
気がつくと…名前を呼ばれたり、ちょっと触れられたり、目が合うだけで………凄ぇ嬉しくなる様になっていた。
そのうち、分かってきた。
自分のことが。
お前は………ちっとも知らないんだろうな。気付いてもいないんだろうな。
トウェイン。
…………俺は。
俺はな。