亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
重いアカシック年代記の頁をバタリと閉じ、トウェインは脱力した様に、壁に寄り掛かってズルズルとその場に座り込んだ。
両手で膝を抱え、顔を埋めた。
………混乱…している。
頭の中の……整理がつかない。
………私が…………ローアン?
………私が……?
……………幼い頃のあの記憶は?
あれは何なんだ?
私は………総隊長に拾われた孤児。
あの村で唯一生き残った………死に損ないの孤児。
………違うのか?
違うのか?
………総隊長……違うのですか?
「…………総隊…長………………………っ……!?………………」
ぐちゃぐちゃに混ざり合い、まどろむ記憶。
―――ぽつりぽつりと……知らない声が泡の様に浮かんできた。
いや………知らない声ではない。
知っている……のかもしれない。
―――……、もう10になるのだから……その大胆な好奇心を少し抑えてちょうだい。
―――あら、そんなことないわ。………は、走り回っている方が可愛いもの。ねぇ………。