亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~











―――………つまりは、だ。俺ははっきり言って………あんたのやり方はいけ好かない訳。……ここまでついて来たのは…あんたと俺が同僚で、なかなか互いに分かりあえるダチだったからって訳だ。…………でもなクライブ。………俺も一応、この廃れた国が大、大好きな善人なんだよ。………その国のお姫さんに、味方を殺させるのは………酷過ぎやしねぇか?


―――……総隊長…いえ、クライブ………貴方はもっと………人間らしい方だったと思っていたのですが…………私の目は節穴でしたか。いやぁ………片目しかないのに…参りましたね…。


―――……ジスカだってそうさ。あいつはまだ若い。青春真っ盛りのガキさ。酒の飲み方も、女の口説き方も、訓練のサボり方も俺が教えてやった。


―――……バレン…。


―――……うるせぇよグラッゾ。ちょっと喋らせろ。………とにかくだ………俺はな、あんまし…汚ねぇものを見せたくないんだ。何でも吸収しちまう思春期に……隊長の役柄は似合わねぇ。………特に姫さんはな。


―――………隊長という身分がどれ程重いのか………貴方は分かっているでしょうに…クライブ。


―――つくづく………黒い野郎だな。……何を考えているんだよ。……………クライブ。
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