亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
クライブはゆっくりと、重い瞼を開いた。
椅子に腰掛けたまま、いつの間にか眠っていたらしい。
ここ数年……まともに眠れたことなど無かったのに。
夢を見るのも随分と久しい。
………懐かしい夢を見た。
かつての…友。
今は空席となっている、第5部隊と第6部隊の隊長二人。
………緩い性格だが、信念を貫くバレン。
物静かでお人好しだが、時折冷酷な男と化すグラッゾ。
………二人とも………長い付き合いの友だった。
古い古い…………今は亡き友。
二人が自分に刃を向けてきたのは、トウェインを隊長に任命してからすぐの事だった。
………バレンが最初だった。
赤い髪を振り乱し、二刀流を駆使して、自分に切りかかってきた。
………最後まで笑っていた……妙な男だった。
グラッゾも反逆を企てたが………最終的に自決した。
『―――貴方に殺されるのは、気持ちの良いものではありませんね』
死んだ。
二人とも、死んだ。
死に急いだのだ。
何故今頃になって、彼等を思い出すのか。