亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
………時間が経てば………また襲って来るに違いない。
………ここにいては…まずい。
嫌な予感がした。
言い知れぬ不安が胸中で渦巻く。
兵士としての研ぎ澄まされてきた直感だった。
……キーツは剣を鞘に収め、部下のいる場所へと走った。
霧を掻き分ける様に戻って来たキーツ。
その緊張した面持ちを見て、師団長は何事かと駆け寄った。
「―――総団長…?如何致し…」
「―――総員撤退。……この辺りは森林地帯とは逆の谷底だったな?」
「はい……そうですが……」
「………ワイオーンを配置。倒壊した家屋に火を放て。………急げ!」
日も暮れ、辺りはあっという間に闇に包まれた。
重々しい城門が主人の帰りを迎えるかの様に、その巨大な口をゆっくりと開いた。
「――総団長及び第1師団のお戻りである。………敬礼!」
完全に開いた城門から、キーツを先頭に兵士達が続いて入った。
真っ白な石畳の一本道。その両端には、槍を手にした装甲兵が等間隔でずらりと整列していた。
キーツが道の中央を歩き始めると、兵士達は一斉に敬礼をした。
「御帰還、お待ちしておりました」
………ここにいては…まずい。
嫌な予感がした。
言い知れぬ不安が胸中で渦巻く。
兵士としての研ぎ澄まされてきた直感だった。
……キーツは剣を鞘に収め、部下のいる場所へと走った。
霧を掻き分ける様に戻って来たキーツ。
その緊張した面持ちを見て、師団長は何事かと駆け寄った。
「―――総団長…?如何致し…」
「―――総員撤退。……この辺りは森林地帯とは逆の谷底だったな?」
「はい……そうですが……」
「………ワイオーンを配置。倒壊した家屋に火を放て。………急げ!」
日も暮れ、辺りはあっという間に闇に包まれた。
重々しい城門が主人の帰りを迎えるかの様に、その巨大な口をゆっくりと開いた。
「――総団長及び第1師団のお戻りである。………敬礼!」
完全に開いた城門から、キーツを先頭に兵士達が続いて入った。
真っ白な石畳の一本道。その両端には、槍を手にした装甲兵が等間隔でずらりと整列していた。
キーツが道の中央を歩き始めると、兵士達は一斉に敬礼をした。
「御帰還、お待ちしておりました」