亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~

オーウェンの言葉に、キーツは苦笑した。

「寡黙……?………ところが…そうでもない。デイファレトは、アレス以外の神も信仰していることは知っているだろう?……自然を神々と敬っている。だから、彼等にとって密猟なんぞ言語道断さ。……密猟者は見つかり次第、皆殺されている。バリアンの商人はいつも命懸けだ」

「………美男美女のお綺麗な顔して……やる事は怖いな……」


デイファレトの民のほとんどは、狩人であるらしい。

幼少の頃から野に出て獲物を狩る。男も女も、子供も老人も、殺しのプロだ。



「……バリアンとの間は、だんだんと火花が散ってきている気がするよ。…いつかは両国へ行かないとな。…………………………それはそうと……今から行う軍議だが……。…………非常にやりにくい戦争になりそうだぞ、オーウェン」

キーツは真剣な面持ちで言ったが、当のオーウェンは何故かにやけている。


「……そりゃあちょうどいい。やりにくさがダブルで来たって事か。良いねぇ~」

「……………は?」



キーツは怪訝な表情を浮かべた。




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