亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「再生………ね……見間違えじゃねぇだろうな?」
「確かだ。しかも数分足らずの間に元に戻る」
「………今まで……そんなこと無かったのに……」
軍議の席で、キーツは影の異変について話していた。
影に再生能力など無かった筈だ。それがここ数日で、大きく変化している。
「……光や熱への耐性ですが、小さい単体の影は問題無いのですが………大きい影は強くなっている様です」
「被害も拡大してるぜ―?………不思議な事に……ここ数年で城周りの村の被害が増えた。首都は静かなもんよ」
「…………どういう傾向なんだ………」
急に変わり始めた周りの環境に、キーツは深い溜め息を吐いた。
「…………アレスの使者も、特に音沙汰無し。……………妙におとなしくて…逆に不気味だな」
この異変に乗じて、その内宣戦布告でも来るのではないか。
………。
……………。
…………?
………急に室内が静かになった。
絶対何か言ってくるオーウェンと、質疑を繰り出すリストの声がしない。
ふと、二人に目をやると…………………何か………おかしかった。