亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
オーウェンは無言で俯いたまま、肩を震わせている。
………こいつ…なんか笑ってる。
リストはというと、前のテーブルを………睨み付けている。
組まれた両手は小刻みに震えている。
………こっちはこっちで………なんか物凄く苛ついている。憤慨している。
「…………二人共……どうした…?俺のいない間に何か………」
その途端、弾かれた様にリストがテーブルをバンッと叩いた。
「―――総団長!!」
「………はい」
訳も分からず、キーツはリストの威圧感に押され、ビクリと反応した。
何なんだ。この少年をここまで苛立たせているのは。
何を言われるのかと構えていると、リストは怒りに燃える目で一言。
「殺すべきです!!」
「………それは駄目だ。いくらオーウェンがふしだらで不謹慎でろくな事言わないからといって、殺すのは行き過ぎた行為だぞ。仮にもこいつは幹部の人間であって…」
「待て。どういう流れだ。どうやったら矛先が俺に向くんだよ」
リストの殺意の先を、至極当然と言わんばかりに、すぐにオーウェンと判断したキーツに、オーウェンが無表情で異を唱えた。
キーツはキョトンとした顔を向ける。