亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
「………違うのか?」
「………お前って素で酷いな……」
オーウェンは苦笑いを浮かべた。
向かいでは、リストがストレスを発散するかの如くテーブルを拳でバンバン連打している。
「…見るだけで苛々するのに……あんな奴が近くにいるだなんて………………………総団長!!」
「………はい」
険悪な形相でグッと迫って来たリスト。後退出来ないキーツは背も垂れに深く体を沈める。
「今すぐ処刑命令を出して下さい!!捕虜なんて…!!………僕に殺らせて下さい!!」
「………捕虜?」
キーツは顔をしかめた。さっきからリストは何を言っているのか。
「おいおい……軍議の最後に言うつもりだったんだぜ?リスト、急かすなよ。せっかくのサプライズが……」
反対側でオーウェンは何がおかしいのか、せせら笑う。
「……オーウェン…ふざけるな!すぐにでも総団長に……!」
「待て待て待て待て待て!!」
言い合う二人の間に、不愉快そうなキーツが割って入った。
「……………何なんだ?俺は今完全に蚊帳の外だな?そうなんだな?……捕虜だとか何だとか……最初から全部話してもらおうか……全く意味が分からんっ!!俺のいない間にいったい何が……」