亡國の孤城 ~フェンネル・六年戦争~
3.主無き者達
―――襲撃まで、あと三日。
「―――……後衛の第4部隊は、突撃後もしばらくは待機を命じる。………こちらから合図をするまで動くな」
朝の軍議。
テーブルの上には、古い大きな地図が広げられていた。
両端に白と黒のチェス駒が並んでいる。
白は敵、黒はこちらだ。
レンズをずらしながら、ベルトークは淡々と策を述べる。
「………待機…ですか」
「………不満か?」
テーブルの向かいに立つゴーガンが、にやりと笑いながら意地悪く言った。トウェインは視線を地図に落とす。
「………いえ」
「……そこ…私語は慎め。………恐らく、城壁の外、城下の原野で衝突する事になるだろう…………敵兵を充分誘い出した後……第4部隊には、手薄となった城壁内に侵入してもらう…」
トップの人間の間で決められた策。…徐々に明らかになっていく戦法に、ジスカは眉をひそめる。
「………第4部隊…だけ?」
手薄の城…。国家騎士団の支柱である人物がいる筈だ。
隊長クラスはもちろんの事、あの総隊長とも互角に渡り合える人間があそこにはいる。
そいつらの相手を……総勢僅か四名の部隊が?
信じられない、というジスカの表情を見たベルトークは、再度口を開く。
「……ただ…極力戦闘は避けるように。忍び込んだ後、しばらくは待機だ。見付からない様に」
「―――……後衛の第4部隊は、突撃後もしばらくは待機を命じる。………こちらから合図をするまで動くな」
朝の軍議。
テーブルの上には、古い大きな地図が広げられていた。
両端に白と黒のチェス駒が並んでいる。
白は敵、黒はこちらだ。
レンズをずらしながら、ベルトークは淡々と策を述べる。
「………待機…ですか」
「………不満か?」
テーブルの向かいに立つゴーガンが、にやりと笑いながら意地悪く言った。トウェインは視線を地図に落とす。
「………いえ」
「……そこ…私語は慎め。………恐らく、城壁の外、城下の原野で衝突する事になるだろう…………敵兵を充分誘い出した後……第4部隊には、手薄となった城壁内に侵入してもらう…」
トップの人間の間で決められた策。…徐々に明らかになっていく戦法に、ジスカは眉をひそめる。
「………第4部隊…だけ?」
手薄の城…。国家騎士団の支柱である人物がいる筈だ。
隊長クラスはもちろんの事、あの総隊長とも互角に渡り合える人間があそこにはいる。
そいつらの相手を……総勢僅か四名の部隊が?
信じられない、というジスカの表情を見たベルトークは、再度口を開く。
「……ただ…極力戦闘は避けるように。忍び込んだ後、しばらくは待機だ。見付からない様に」